九九が分からない生徒が、通信高校に入った後の話

もくじ

①小学校低学年から長い間不登校の生徒様

②通信高校サポート校では、こんなサポートを受けることができます

③数2まで必修の通信高校で、生徒がどのようにレポートを提出していくのか

④私の、算数できない生徒に対する数2指導法

⑤不登校の生徒様が、中学を卒業するまでに取り組んでおきたいこと

①小学校低学年から長い間不登校の生徒様

今までに何百人という不登校の生徒様に関わってきましたが、中には小学校低学年の時点で学校に通うことが難しくなり、そのまま通信高校に上がることになった生徒様はそれなりに多くいらっしゃいました。

「勉強ができなくても、せめて、高校生活は人並みに送ってほしい」

という保護者様のニーズや、生徒様の希望から、今、通信高校が非常に人気な進路先になっています。

入試は面接と作文のみで行われるところがほとんどで、学力はそれほど重視されません。

合格基準は、「生徒様が来たいかどうか」「生徒様本人にやる気があるかどうか」というところになっています。

小学校低学年から学校に通えていないと、授業を聞いていないので、学力は著しく低くなってしまうことが多いです。

他のフリースクールや塾、家庭教師でフォローされている生徒様はまだ良いですが、それでも学習科目が偏るため、「受験をしないで高校に進学する」と、高校生になっても「九九が分からない」「分数の計算が分からない」「〝正負の数〟の計算ができない」という事態に陥りがちです。

それでも、授業は高校のカリキュラムで進んでいくし、レポートも提出しなくてはならないので、通信高校に進学すことはできても「卒業」することが難しい事態に陥りかねません。

②通信高校サポート校では、こんなサポートを受けることができます

そのために、生徒様が利用するのが「通信高校サポート校」です。

サポート校はいわゆる「塾」の役割を持っており、通信高校のレポートに関する学習のフォローを受けることができます。

通信高校は、「レポート」と「スクーリング(年数回)」と「年1回の科目テスト」で単位を取ることができるので、学校に頻繁に通わなくても卒業することができます。

サポート校では、「レポートがしっかり提出できているか」「スクーリングに行けているか」「テストが受けられているか」といった生徒の学校生活の管理をしつつ、自分でレポートを進められない生徒に対して集団や個別で授業をしています。

必ずしもサポート校を利用しなくても、卒業要件さえ満たしていれば卒業できますが、ほとんどの生徒様は「自己管理」「学習面」で課題を持っているため、サポート校を利用しています。

他にも、資格を取るフォローや、好きなことを伸ばすフォローとして、いろいろな授業やイベントが開催されています。

家でずっと過ごすままで高校生活を送り、卒業後社会に出たり大学進学したりすることもなかなか難しいので、サポート校では「興味のあることから少しずつ」生徒が授業に参加して、その中で仲間を作って、家以外で過ごす「居場所」を作ってコミュニケーションに自信を付けていくといった過程も重要視されています。

フォローの行い方は、サポート校によっても異なります。一つの通信高校に絞ってレポートフォローをしている学校もあれば、複数の通信高校と連携して、それぞれに対してレポートフォローをしている学校もあります。

また、完全に個別指導形式をとって、家庭訪問による個別指導→オンラインでの個別指導→教室での個別指導と段階的に生徒を集団に溶け込めるようにサポートしているサポート校もあれば、集団授業にてレポートが解けるような授業をしているサポート校もあります。決められた回数学校に通わなくても、オンラインで集団授業に参加できるところもあるので、学校を選ぶときの決め手となりそうです。

登校日は、毎日のところもあれば、週1〜4で自分で決めたコースで行くところもあります。

本当にいろいろな通信高校サポート校があるので、中3になったら早めにいろいろな学校の見学やオープンキャンパスに参加して、自分に合ったところを見つけるのが良いですね。

どの学校も目指すのは「自律した社会生活を営める人間になること」です。ただ、レポートだけこなして卒業さえすれば良いのではなく、学校生活の中で自分の将来像を考えて、そのためにどうするのか常に考えながら学校生活を送っていくことが、大切な過ごし方になるのではないでしょうか。

ただ、そのレポートを提出することが、やはり生徒にとっては大変なこと。

特に「数学に苦手意識を抱いている生徒」は非常に多いため、締め切り前になると教えてくれる講師の需要が一気に高まります。

私の働いていたサポート校は、どの講師が何の教科を教えてもよかったため、数学2までなら何とか教えられる私はそれなりに需要があったかと思います。

③数2まで必修の通信高校で、生徒がレポートが進めていくのをどのようにサポートしていくのか

通信高校や生徒様によって、必修科目や選択科目は異なります。

中には、数3・Cまでの需要があることもあります。しかし、それらの科目を選択する生徒は、もともと中高一貫校やトップ校にいて、最後の学年だけサポート校に入るといった生徒であることが多いので、教えるのにもあまり苦労はありません。

講師として大変だと思うのは、「数2まで必修なのに、九九や分数の計算ができない生徒に対して、微分・積分を教えること」です。

そもそも、目の前にいる生徒に対して、微分・積分を教える意義が分からない。

本人も必要としていない学問だし、それだったら、日常生活で役にたつ九九や分数の計算を基礎から教えたいですよ。

ただ、ここで必要とされているのは、「レポートフォローを軸としたコミュニケーション」だと私は考えていたので、「いかにその時間がお互いにとって楽しい時間になるのか」を考えに考えました。

実践具体例⑴

・講師が基本の解き方を教科書を見ながら教えて、実際のレポートの問題は数を変えるだけで解けるようにノートを取ってもらい、実際に生徒に目の前でその通りに解かせて、計算だけは自力でやってもらう。

上記ができる生徒にはやってもらいます。計算が自分でできれば、自信につながるので、いかにうまく誘導するかが鍵になってきます。公式のある問題であれば、教科書の公式に線を引いてもらって、次からそれを見てできるようにします。四則計算ができる生徒におすすめです。

実践具体例⑵

・生徒が見ている前で講師が問題を解き、簡単な計算(足し算・引き算・掛け算レベル)だけは自分で計算式を書いて解くように声かけし、それができたらめっちゃ褒める。

少しでも、自分で解いている感が欲しいです。できた時の達成感を講師と2人で共有することで、信頼関係を深めます。

簡単な計算で間違えたとしても、絶対に「何でできないの」とか言いません。

生徒ができないのは講師の責任です。自分の教え方や生徒に対するアセスメントが悪いくせに、生徒のせいにしてはいけません。

生徒が「どの程度ならできるのかを見極めて」計算問題を出すことがポイントとなります。簡単な計算を何度も繰り返し行い、できた時にものすごく褒めると、生徒のモチベーションが上がり、次のレベルの計算問題を解く意欲が湧きます。

その繰り返しで、生徒の自信を付けて「自分はもしかしたら数学が得意なのではないか」と思い込ませることが重要です。

人と比べる必要がないんですよ。生徒ができるようになることが「教える」ということなので。

自分ができると思い込んだら、自分から教科書を開くし、自分から宿題もやってきます。

実践具体例⑶

・問題そっちのけで、数学の面白さをとにかく語る!

数学が苦手な生徒様は、小さい頃から面白くもない計算問題を無理やりやらされたり、嫌いな先生から他の生徒と比較されたりしたといった「心理的な理由」から、数学に「嫌悪感」を持っていることが多いです。

まずは「雑談」でしょう。その中で、「積分や三角関数って何の役に立つんですか?」と言われたら初めて、「私たちの身の回りの建物や道具は、全て計算されて設計されているものなんだよ〜」などと伝えていきます。

「いや、そういう仕事興味ないし・・・」とはなりますが、雑談することが重要なので、生徒の話も聞きつつ、ひたすら数学が何に使われているか、知っているとどう面白いのかを語っていきます。

「宝くじ買う時にさ、少しでも当たる確率上がるなら、その方法知りたくない?」などなど。話そのものが面白ければOK。興味がなさそうなら適当なところで引きます。

話を押し付けてはいけません。あくまで、生徒にとって面白い、有意義な時間になるように話を少しずつ誘導していくのです。

そして、「生徒の気持ちにとことん共感すること!」←これが重要です。

途中で生徒がつまらなそうにしてお絵描きを始めても、決して怒ってはいけません。

その絵を真似しながら、「この女の子の着ているドレスの面積を知りたい時・・・」など、生徒の興味に合わせて話を誘導することもあります。

全く別の話を始めたら、それに乗っかり、延長上で話を数学に戻します。

「銀魂」の話から江戸時代中期の話まで持っていき、高橋景保(日本地図をシーボルトに渡して捕まって死んだ人)が地図を作る時に数学が必要で〜などと無理やり持って行ったこともありましたね^^;

一応、授業中ですからね。一緒になって全く別の話をしていたら意味ないんです。

目的は「信頼関係を作り、自分の話を聞いてもらう土台を作ること」「数学に対する苦手意識をなくすこと」なので、その軸をぶらしちゃダメです。

そのためにどうしたら生徒は喜ぶのか、講師業というものは、日常が全て自己研鑽のきっかけですね。

毎日がめちゃめちゃ楽しいです( ´∀`)

生徒が興味を少しでも持てば、数学を教えることはぐっとハードルが下がるのです!

次はこれやろうと思ってる

年末に実家に帰った時に、小学校6年生の時に作った六角形の小物入れを見つけました。

母曰く「どうやって設計したんだろう?」と首をひねっていた模様。

私は、下記のようにアバウトに計算をして、図を描きました。^^;

(すいません、細かい数字は覚えていないのでやり方として)

三平方の定理やルートの計算、垂直二等分線の書き方などを知っていれば、誰でもできる設計なんです♪

(屋根の高さの部分が約4〜5cmになるように、屋根の斜面の数字を少しずつ変えながら計算しました。)

もし、自分が作りたいものがある時に、設計図が描けなくて制作を断念してしまったら・・・

勿体無いですよね。

不登校の生徒様は物作りが好きな方が多いので、うまく誘導すれば、数学を学ぶことの楽しさに、気づいてもらえるのではないかなと思っています!

⑤不登校の生徒様が、中学を卒業するまでに取り組んでおきたいこと

通信高校に入って憧れのキャンパスライフを送ることができる!

だけど、授業を受けることが苦痛で学校になかなか足が向かない・・・

レポートをどのように進めてよいのか分からない・・・

そんな憂鬱な気分になって、高校生活の楽しさが半減してしまっては勿体ない!!!

なので、中学までの間に、少なくともやっておきたいことをまとめました。

通信高校のレポートを進める上で、中学生のうちにやっておきたいこと!(数学・算数)

・九九、割り算、通分など、小学校4年生までに習う算数の計算

・〝正負の数〟の理解(マイナスの概念の理解)

ここをしっかりやっておいて頂けると、レポートフォローがとてもスムーズに進みます!

もちろん、嫌がる生徒様に無理やりやらせるのは逆効果!

「私って、実はできるんだ!」

「やってみたら面白かった!」

そのように感じながら、ご自宅で学習を進められると良いと思います。

フリースクールほほえみ学園では、少しでも生徒様に学習に対する前向きな気持ちを持っていただくために、「勉強が楽しくなる学習サポート」をさせて頂いております。

高校に入る前に、少しでも数学・算数に慣れておきたいとお考えの生徒様は、お気軽にお問い合わせください!

お問い合わせは2月初旬から受付開始いたします!